過度な飲酒は肝硬変や肝臓がんなどを引き起こすリスクがあるほか、アルコール依存症によって日常生活に支障をきたすケースもあります。
しかし、アルコールは身体に悪いと頭では分かっていても、完全に断ち切ることは難しいもの。
アルコールに限らず、このような依存症状を引き起こすものは多様であり、深刻な健康被害や身体に及ぶ危険を軽減することを目的とした治療法のひとつ「ハームリダクション」が注目されています。
アルコールの健康被害を軽減する減酒治療
アルコール依存症に対するハームリダクションの観点からのアプローチ方法としては、減酒治療が挙げられます。
その名の通りお酒の量や飲酒の頻度を徐々に少なくしていき、適切な飲酒量を継続的に維持できるようにすることが減酒治療の目的といえるでしょう。
では、ハームリダクションとして減酒治療を行う場合、どのようなステップを経るのでしょうか。
3つの段階に分けて紹介します。
現状の把握・理解
初期段階として、まずは患者自身がアルコール依存症であることを自覚することがスタートといえます。
1日あたりの飲酒量を正確に把握し、アルコールを断った場合にどのような離脱症状が現れるか、日常生活にどの程度の影響が出ているか、アルコール依存症以外に何らかの疾患が併発していないかなども確認します。
治療
最終的な目標としてどの程度の飲酒量まで減らすのかを設定します。そのうえで、服薬などにより治療を継続し、中長期的に経過を観察していきます。
治療によって日常生活がどのように改善したか、併発している疾患などの状況も確認します。
再発の防止
継続的な治療によって当初の目標値まで飲酒量が減少したら、その状態が今後も維持できるよう継続的な通院を行います。また、さらに依存度を低減するために、飲酒量の目標を見直すケースもあります。一連の治療によって目標値をクリアできたら、その時点で併発疾患の状態がどのように変化したか、生活習慣の変化などもヒアリングします。
減酒治療は専門医による適切な指導と治療が重要
完全にアルコールを断つのではなく、徐々に量を減らしていくハームリダクションは、自分自身の意志だけで対応できると考える方も少なくありません。
しかし、重度のアルコール依存症患者の場合、短期的には飲酒量を減らすことができたとしても、長期的に見るとアルコール量が元に戻ってしまうことも。
継続的に目標値をクリアするためには、減酒治療に対応した医療機関の下で専門医による適切な指導および治療が不可欠です。
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