強烈な依存性を伴う薬物は、一度手を出してしまうとなかなか抜けられないものです。
禁煙や断酒に挑戦するものの、個人の意志だけでは失敗に終わってしまう人が多いのと同様に、違法薬物についても再び手を出してしまうケースは少なくありません。
そこで注目されているのが、ハームリダクションという考え方。罰を与えて終わりではなく、依存症そのものを克服させ、再犯を防ぐためにはどのような取り組みが必要なのでしょうか。
海外における薬物依存症患者に対するハームリダクションの一例を取り上げながら、詳しく解説します。
薬物依存症に対するハームリダクションの取り組み

海外では違法薬物の再犯を防ぐために、ハームリダクション(害の低減)によって段階的に依存症を克服する動きがあります。
たとえば、欧州の一部の国で採用されているハームリダクションの取り組みは以下のようなものが挙げられます。
ハームリダクションに対応した施設
ハームリダクションの根底にあるのは、薬物などの依存性のあるものを段階的に減らし、徐々に依存症を緩和していくという考え方です。
そのため、ある日突然薬物の使用を一切ゼロにするというものではなく、期間に応じて一定量を許容していかなければなりません。
そこで、欧州の一部の国では、ハームリダクションに対応した施設が存在し、その施設内であれば違法薬物を使用したとしても例外的に逮捕することができません。
施設内には”注射室”が完備されており、患者は自動販売機で注射器を購入し、清潔に保たれた注射室を使用できます。これにより、注射器の使いまわしによるHIVなどの感染症予防にも効果を発揮しています。
日本におけるハームリダクションの実情
海外の国々においても、日本と同様に薬物の使用は法律によって規制されています。しかし、実際に違法薬物を使用したことのある割合は日本に比べて海外のほうが圧倒的に高く、だからこそハームリダクションという考え方が徐々に理解され専門の施設も整備されてきたといえるでしょう。
しかし、日本の場合は薬物依存症患者=犯罪者として排除する向きが強く、ハームリダクションという考え方も一般的とはいえません。
違法薬物の社会的な蔓延を防ぎ、再犯を抑止するためにも、その根底にある依存症を克服するためのプログラムは欠かせません。
具体的な方法のひとつとして、海外でも一定の効果が認められているハームリダクションが今後重要になってくるといえるでしょう。
その他お酒やギャンブルのハームリダクションについてはこちら👇